LCHの生命予後は改善しており、その全生存率は90%を超えている。一方で再発頻度は未だに高く、多臓器型LCHでは30-40%、多発骨型LCHでは20-30%ほどの再発が認められる。LCHの再発は、骨や皮膚などの生命予後に関わらない臓器に起こることが多く、治療反応性も良好であることが“経験的”に知られており、その実態については不明な点が多かった。このため、我々は日本ランゲルハンス細胞組織球症研究グループ(JLSG)が行った2つの臨床試験(JLSG-96,-02)登録例(合計317例)のデータを解析することで、再発LCHの臨床像を明らかにする研究を実施した(Sakamoto K, Morimoto A, Shioda Y, et al. Japan LCH Study Group (JLSG). Relapses of multisystem/multifocal bone Langerhans cell histiocytosis in paediatric patients: Data analysis from the JLSG-96/02 study. Br J Haematol. 2023 Mar;200(6):769-775.)。
JLSG-96,-02登録317例のうち、再発をきたしたのは101名(31.9%)であり、のべ189回の再発について詳細な解析を実施した。
再発はLCH発症から2年以内に再発全体の50%、3年以内に60%、5年以内に85%が認められていた。
再発をきたした101名のうち、1回のみの再発は50名(49.5%)であり、
複数回の再発をきたした症例が51名(50.5%)存在した。
再発の病型は単一臓器型が85%と大半を占めており、多臓器型で再発したのは15%であり、リスク臓器への再発が認められたのは全体の3.2%であった。単一病変型の中で最も多かったのは骨再発55%であり、次いで尿崩症12%、皮膚9%であった(図5)。